診療の基本方針
『受診の対価とは、処方(薬)ではなく、診察そのものである』
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小児科を受診する主訴で最も多いのは発熱であり、その多くはウイルス感染症である。いわゆるかぜ症候群及びその周辺疾患であるにもかかわらず、日本の臨床現場では抗菌薬(抗生剤)が多く処方されてきました。その結果、日本では抗菌薬の過剰投与により耐性菌の問題が深刻になってきました。
かぜ症候群のなかには、残念ながら一定の割合で重症化する症例があるのも事実です。それを恐れて医者は、「念のため」の抗菌剤処方を行ない、保護者は多くの不必要な処方を希望する。そのことによって保護者は安心し、処方された薬によって治癒したと考えてしまう。その結果、不要な多くの薬を出すクリニックに多くの患者が受診し、説明する時間がないのでまた簡単に抗菌剤を処方するという、悪循環を起こしてしまいます。
最近はHib、肺炎球菌、ロタウイルス、B型肝炎ワクチンなどの普及により重症感染症が明らかに減少してきました。おかげで細菌性髄膜炎は臨床の現場ではほとんど経験することはなくなりましたし、重症細菌感染症も確実に減少してきましたので、抗菌剤処方は今後ますます不要になってきます。
我が国はアクセスの良さから、多くの軽症患者が医療機関を受診して、本来は自然に治る「かぜ」をいかにも投薬により治ったと勘違いさせてしまっています。まずは、どういったことが起きているのかというのを説明し、保護者の不安を取り除き、どうしたら楽になるかなどの対処法をアドバイスする。その結果、必要であれば最低限の処方を行うというのがこれからの小児医療の目指す道ではないかと思います。
疾患別の抗菌剤投与方針
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①感冒(かぜ症候群)
感冒に対しての抗菌剤の有効性は認められず、二次感染の予防効果もないことから、抗菌剤投与なしで自然治癒を期待する。
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②扁桃炎
溶連菌感染症は抗菌剤投与が望ましいが、その他はウイルス感染症が大半であるので、経過観察で対応すればよい。
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③急性中耳炎
これまでは抗菌剤が投与されるケースが多かった疾患であった。しかし、中耳炎は予後良好の疾患であり自然治癒傾向が強いため、ガイドラインにもあるように数日間は抗菌剤なしで経過観察とし、その後の診察で改善なければ抗菌剤投与を考慮する。また、耳漏のないケースには点耳薬の効果は認められないので不要である。
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④気管支炎、肺炎
大半の原因がウイルス感染症であるため、一律に抗菌剤投与するのは推奨されていません。最近ではRSウイルスやヒトメタニューモニア感染症の診断キットも発売され、抗菌剤の不要な疾患がきちんと診断されるようになってきました。ただし、マイコプラズマ肺炎や百日咳は抗菌剤が有効であるので投与を考慮する。
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⑤発熱
小児の多くが自然に軽快するウイルス感染症である。しかしながら、なかには入院を必要とする細菌感染症が紛れ込んでいる場合もあります。熱が続く場合には、採血や検尿などで原因を追求する必要があります。高熱が続くから脳に障害が起こるというのは一般的にはありませんし、全身状態が悪くなければ数日は経過観察で十分です。
当院は以上のような方針のもとに診療を行っております。他のクリニックに比較すると投薬は少ないと思われるかもしれませんが、子ども達のために何がいいのかというのを最優先に考え診療しています。過剰診療、過剰投薬を避けるためにも、医療を提供する我々だけでなく、受けるお子様とその保護者の皆様も共通の認識を持っていただき、より良い医療が行えますようご協力とご理解をお願いいたします。
よしもと小児科 院長 吉本寿美
副院長 吉本朋子
診療について
診療科目 小児科、アレルギー科
診療時間
※(午前):(午後)の診療時間です。
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月曜日 9:00〜12:00: 14:00〜18:00 火曜日 9:00〜12:00: 15:00〜18:00 水曜日 9:00〜12:00: 午後休診 木・金曜日 9:00〜12:00: 15:00〜18:00 土曜日 9:00〜13:00: 午後休診 休診日 日曜・祝祭日 - ※ 火曜、木曜、金曜の14:00~15:00は予防接種と乳児健診のみです。
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休診日:水・土曜午後、日曜、祝日
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(注)水曜日午後は菊陽レディースクリニックの健診を行っています。
(注)受診状況により副院長は不在となる場合があります。副院長の診察をご希望の場合は、あらかじめ在院状況を御確認ください。
小児科外来診療について
<こどものことならば、何でもご相談ください>
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熱が出ました、発疹(ぶつぶつ)がでました、様子がおかしいなどご心配な事があればお気軽に受診して下さい。その他にも、手を動かさなくなったとか、おねしょが治らない、アレルギーが心配だけど、どこを受診したらよいかわからない場合でも、遠慮なくご相談下さい。出来る限りの対応を行ないますが、当院で対応が難しい場合には、専門の医療機関をご紹介します。
なお、当院は予約制ではありません。受付をされた順番で診察を行なっております(但し、状態の悪いお子さんの場合はこの限りではありません)。待合室にはおもちゃや絵本が置いてありますので、どうぞご利用下さい。
『熊本県予防接種広域化』協力医療機関です。菊陽町、大津町、合志市、菊池市、熊本市以外のお子さんも、『広域化の問診票』があれば接種は無料で可能です(一部参加していない自治体もあります)。詳しくはスタッフまでお問い合わせ下さい。
予防接種・乳児健診
予防接種は火、木、金曜日の14:00~15:00に専用の時間を設けております。この時間帯は一般の診察は行なっておりません。電話での予約も可能ですが、インフルエンザのみネットでの予約となります。なお、上記時間帯以外(夕方や土曜日など)でも接種することが可能です(但し、一般の診察の方と待合室が一緒になります)。ご予約の際にご相談下さい。
乳児健診(菊陽町は3ヶ月健診のみ、西原村、熊本市は3、7ヶ月健診)は火、木の14:00~15:00に4名ずつ行なっております。栄養指導については、外部の栄養士の先生にお願いしております。なお、菊陽町の7ヶ月健診は集団で行なわれており、今年度も院長が担当しています。
また菊陽町の1歳半検診も半分は院長が担当することになりました。