第3話 抗生剤について
今回は抗生剤についてお話ししたいと思います。抗生剤というとどのようなイメージを持たれるでしょうか?発熱=抗生剤というのは間違ったことなのですが、時々発熱で受診されても抗生剤を出さないと「?」という顔をされる場合があります。特にご年配の方はそのような傾向があります。しかし、抗生剤を飲まなくても病気は治っていくものだということを経験すれば、次第にいらないということを理解していただけるようになってきました。ただし、溶連菌のように絶対抗生剤が必要な病気もありますが。
今回は抗生剤についてお話ししたいと思います。抗生剤というとどのようなイメージを持たれるでしょうか?発熱=抗生剤というのは間違ったことなのですが、時々発熱で受診されても抗生剤を出さないと「?」という顔をされる場合があります。特にご年配の方はそのような傾向があります。しかし、抗生剤を飲まなくても病気は治っていくものだということを経験すれば、次第にいらないということを理解していただけるようになってきました。ただし、溶連菌のように絶対抗生剤が必要な病気もありますが。
では、抗生剤とは一体なにかということになるのですが、専門的には抗菌薬といったほうがいいかもしれません。細菌の発育を阻害し死滅させる薬で、細菌に選択的に作用するものです。宿主(人のからだ)に影響を与えず、細菌のみを攻撃するもので、その機序は大きく分けて5つに分かれます。
1 細胞壁合成阻害
2 細胞膜機能阻害
3 核酸合成阻害
4 蛋白合成阻害
5 葉酸合成阻害
時々耳にされるマイコプラズマというのは細胞壁がありません。なので、1に分類されるセフェム系やペニシリン系の抗生剤は効かないということになります。この場合は4に分類されるマクロライド系という抗生剤が有効です。この系統の薬は苦いのが難点ですが、まさに「良薬口に苦し」ですね。一方、溶連菌感染症はペニシリン系の抗生剤を最初に処方します。再燃する場合もありますので、その場合はセフェム系の抗生剤を処方します。この場合、マクロライド系は耐性(効かない)ということが近年問題になっていますのであまり処方はしません。これらのことからもわかるように、発熱だから何でも抗生剤が効くということはないということがわかっていただけたと思います。この感染症にはこの抗生剤というのを予測あるいは確定して処方する必要があります。しかし、幸いこどもの発熱は大半がウイスル感染症なので、抗生剤は発熱だけでは不要な場合が多いということになるのです。
最近は、検査キットの開発によりいろいろな診断がほんの数分で可能となりました。例えば、アデノウイルス感染症という高熱が続く病気も簡単に診断できます。高熱が続いて心配かもしれませんが、ウイルス感染症なので抗生剤は不要です。耐性菌が凄まじいスピードで増加しています。このままでいけば抗生剤が効かない病気がもっと増えるかもしれません。これを防ぐには患者サイドの意識も変える必要があります。もう、発熱だけで抗生剤を希望するのはやめませんか?
【2008年7月】