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第14話 これからの医療は・・・

小児科医のつぶやき|第14話 これからの医療は・・・

土地柄や共働きの家庭が増えた事もあるのでしょうが、最近はおじいちゃんやおばあちゃんと受診されるお子さんも増えました。ご両親と同伴で受診される場合もあります。そこでよく質問されるのが、「熱があったらお風呂はやめた方がいいでしょうか?」ということです。「熱があっても入れて下さい」と毎回説明しますが、決まって年配の方から「こいつ、何を言っているのだ」と言わんばかりに不審なまなざしで見られます。現在は熱があっても入浴するのが一般的です。あまり長く入浴しない、髪の毛はきちんと乾かすなどを守ってもらえたら、入浴して悪くなる事はまずありませんよ。


更に、当院では発熱で受診された場合でも、不要な薬は出さない方針なので処方なしでお帰りいただく事も多いのですが、これもご年配の方には不評です。「せっかく病院に来たのに、何も出さないとは何事だ」みたいに言われる事もあります。今は「とりあえず薬出します」の時代ではないのです。時にはお母さんは大丈夫と思っていても、おじいちゃん達から「見せてこい」と言われてしぶしぶ受診される場合もあります。決まってお母さん方は「私は大丈夫と思うのですが」と困惑気味に言われます。この場合は、手ぶらで帰すとお母さんの立場が悪くなるので、最低限の薬は出します。


それから嘔吐下痢の場合に、「食べないから点滴してくれ」と言われる場合がよくあります。昔のように「注射の1本でもしてもらわないと」と言われても、残念ながら点滴の中には、栄養となるものはほとんど含まれていません。お子さんの脱水に点滴は有効ですが、それ以外には点滴は不要です。ご年配の方には点滴や注射といったものは非常に人気がありますが、必要でない子供達に点滴する事がいいこととは思えません。絶対必要な場合を除けば、以外と子供達は自然治癒で良くなっていく事も多いのですが。


どのケースも医者が今まで行ってきたことに起因していると思います。以前は病院受診の場合には、「とりあえず」薬を出しましょう、注射しましょう、点滴でもしておきましょうという医療でした。今はこのような時代ではないのです。僕自身、薬はあまり出さない先生がいい先生ではないかと思っていますが、薬や処置が少ない先生が残念ながら人気がないのも事実です。薬があると安心という気持ちはわからないでもないのですが。


これからの時代「薬をもらって安心、注射をしてもらって安心」というのではなく、本当にこの薬は必要なのか、あるいはこの処置は必要なのかというのを受診される方も考えてもらえればと思います。理解してもらうためには時間を要しますが、我々医者もきちんと説明する必要があります。少しずつですが、正しい考えが広まっていけばと思うこの頃です。しかし、難しいですね。


【2009年6月】
よしもと小児科 吉本寿美

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