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第177話 今年はどうなる?

小児科医のつぶやき|第177話 今年はどうなる?

 明けましておめでとうございます。今年も引き続きよろしくお願いいたします。行動制限が解除されたとはいえ、こんなお正月を迎えるのはもう何回目でしょうか。どことなく制限された社会に息が詰まるように感じている方も多いのではないかと思います。サッカーW杯を見てもマスクしている人なんて誰もいないし、大声出して応援している風景は羨ましくもあります。マスクの是非については賛否あると思いますが、日本では恐らくマスクを外しての生活というのは今後も考えられないのではないでしょうか。但し、自分もあまり病気をもらうことが無くなったので、マスクの効果についてはある程度の評価できると思います。今年は出来るだけ制限のない生活が戻ってきて欲しいと願うばかりです。    


 そのような中で、今年は小児科にとって大きな動きがあります。先ず4月から4種混合ワクチンの接種が2ヶ月からに前倒しされます。恐らく来年度以降に発売が予定されている5種混合ワクチンをにらんでのことだろうとは思います。諸外国では既に2ヶ月から接種していますので、日本もやっとという感じです。これまで日本では百日咳の流行が結構問題となっていました。コロナの流行前は当院でもかなりの患者さんが罹患されていましたので、これは朗報だと思います。ただこれだけでは不十分で、抗体が低下する年長児に対しての3種混合の接種も早く定期化して欲しいところです。現在は任意接種で費用が発生するため接種するお子さんの人数はまだそこまで多くはありませんが、当院ではM Rワクチンを接種してもらう際に3種混合の説明をしていますので、少しずつではありますが接種するお子さんも増えてきました。    


 それから子宮頸がんワクチンについても、4月から新たに9価ワクチンがいよいよ定期化されます。これまでのワクチンが2価と4価でしたので、さらに9価ワクチンが自己負担なしで接種できるようになると、より高い予防効果が期待できます。こちらも少しずつ接種する方は増加してきましたが、以前のネガティブな印象が今も変わらず残っていますので、キャッチアップ症例については接種率が伸び悩んでいるのが現状のようです。今年も何とかして接種率が上がるように丁寧な説明を心掛けたいと思います。   


 最近は病気の季節感がなくなって、これまでみたいにこの時期にはこの病気が流行るというのが少し予測することが出来なくなってきました。年明けからはインフルエンザの流行が気になります。数年ぶりに流行するのではと言われていますが、そうするとコロナとの鑑別というのが非常に難しくなってきます。4月からはコロナも2類から5類に移行することが予想されていますので、小児科医としてはどう対処すればいいのか非常に悩むところです。ただそれ以外にも小児科では発熱をきたす病気はたくさんありますので、最近は外来も混雑しており舵取りが難しくなってきました。      


 ワクチン接種については少しずつ光が見えてきて嬉しいのですが、診療についてはこれからも発熱のお子さんをどうするのか、困難が予想されます。以前に比べて待ち時間も長くなってきましたし、車内での診察も多くなってきています。それでも多くの方が不満も言わずに帰っていかれるのを見ると、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。できるだけ待ち時間を少なくするよう努力はしていますが、これが限界のようです。インフルエンザが増加すればこれまで以上に混雑が予想されます。それでも発熱者の診察を拒否しないという姿勢は崩さないようにしなければ、小児科のお子さんは行き場をなくしてしまいます。予約制を導入すれば早く診察してあげないといけないお子さんが後回しになってしまいますので、予約制の導入は考えておりません。当院のスタイルは今年もこれまでと変わりませんので、ご迷惑をおかけする場面もあるかと思いますが、これまでと変わらぬご協力をよろしくお願いいたします。今年は今まで以上に笑顔あふれる診察風景が戻ってきて欲しいと願っています。      



【令和5年1月】
よしもと小児科 吉本寿美

<第178話 新時代への幕開け 第176話 今年を振り返って>

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