第125話 トップの責任
組織に属していますと、それぞれにいろいろな役割が与えられます。一般的な会社では、社長がいてその下に副社長や取締役や専務などの役職の皆さんがそれぞれに責任を果たされ、会社という組織が動いています。一旦、不祥事や問題が起きると社長以下トップの皆さんが並んで頭を下げてお詫びをする姿はよくみかける光景です。たとえ部下の責任であっても最終的な責任はトップにあり、それほどトップの責任は重いものなのです。
それはクリニックにおいても同じであり、トップである院長が全ての責任を負うことになります。診療方針についても、院長がこうだと言えばおおよそそのような方針で診療が進んでいきます。検査をするのもしないのも院長の決断次第ですし、薬の選択についても院長に一任されているのが一般的です。当然経営についても院長に全ての責任があり、赤字になるのも黒字になるのも院長次第です。赤字になれば、給与カットや人員削減、最悪は閉院という場合もありますので、院長というのも会社の社長同様に大きな責任を背負っています。院長のかじ取り次第で、クリニックはどうでもなるということですね。
トップといえば、今月末に菊陽町の町長選挙が行われます。ご存知の方も多いと思いますが、僕の弟が出馬します。巷では僕が出るのではないかという噂も飛び交っていましたが、さすがに院長と町長の兼任は不可能です。最後の審判は町民の皆様に委ねることになりますが、停滞ムードの故郷をぜひ改革して欲しいと願っています。
我がふるさとは、人口は以前に比べると飛躍的に増えてきました。それはそれで素晴らしいと思いますが、現実的には人口流失も少なくはありません。当院でも今度隣町に引っ越しますと言われるご家族が結構多いのにびっくりしています。では、なぜ同じような規模なのに菊陽町に定住されないのか、いつも疑問が湧いてきます。原因の1つは、隣の合志市は明確に子育ての街というのを表明しているからでしょうか。他にも医療費の支払いの問題もあるのかもしれませんし、土地の値段なども関係しているのでしょうか。詳細はわかりませんが、このままではこの町が衰退していくことは明らかです。それをトップがどう考えているのか、町長選挙では真価が問われるところです。
以前、町独自のワクチン助成について町長にお願いしたことがありました。それも1度ではなく、何度か直接町長に話をしました。ですが、意に介さずという感じで相手にされることもなく、現在に至ります。当然費用対効果の話もしましたが、良い返事はもらえませんでした。例えば、おたふく風邪ワクチンの費用を半額でも負担すれば、接種するお子さんは今以上に増加が見込めますし、医療費の削減にもなります。これこそ、子育てに手厚い町だとアピール出来るのではないかと思いますが、選挙権のない子どもにお金はかけられないというのが、どうも昔からの日本のやり方のようですね。でも、これからの日本を支えるのは子ども達ですので、今後はぜひとも子ども達のためにお金を使って欲しいものです。
クリニックもそうですが、自治体もトップによってどのようにも変わっていくことが出来ると思います。プラスにもマイナスにも転じる可能性があるでしょう。現状に満足していれば何も起きることはないでしょうが、進歩もないでしょうし、未来の展望も開けないと思います。現状に満足して変化のないままあと4年間暮らしていくのか、停滞したムードを一変させて活気ある町に変えていくのか、全ては住民の皆さんにかかっています。それは、子供たちの将来にも大きく関わってくる問題であるということを知っておいて欲しいと思います。貴重な1票ですので、ぜひ投票にいきましょう。
【2018年 9 月】
よしもと小児科 吉本寿美