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第82話 基本に立ち返る

小児科医のつぶやき|第82話 基本に立ち返る

 今年は例年になく、昨年末からインフルエンザが猛威をふるっています。年明けてから患者は増加の一途です。ワクチン接種は重症化を予防するものであって、決して罹患しないというものではありませんので、もうしばらくは注意が必要です。Aに2回罹患するケースもありますし、春先にはB型も流行しますからしっかりと基本的な予防を行いましょう。

 ですので、この時期はどうしても高熱が出るとインフルエンザかなと思ってしまいますが、病気はインフルエンザばかりではありません。インフルエンザは咽頭痛を訴えるケースも多いのですが、咽頭痛と発熱といえばやはり溶連菌感染症を見逃してはいけません。ここ最近、溶連菌の治療や検尿は不要だという意見もあるようですが、当院ではきちんと抗生剤内服と検尿は行います。なかなか血尿が治らないお子さんもいますので、ここは基本通りにということでいいのではないでしょうか。


 それから今年に入って、1型糖尿病のお子さんを立て続けに2例経験しました。そうありふれた病気でもなく、2人ともすごく元気で見た目にはどこが病気なのだろうという印象でしたが、喉の渇きと多飲多尿の症状がありました。教科書に出てくるような基本的な症状だということで検尿してみると、尿糖が出ており血液中の血糖値がかなり高値でした。基本的な症例でしたので見逃しはありませんでしたが、こういうこともあるのだなと思った次第です。


 基本に立ち返ることは、他のことでも同じではないかと思います。我が家も大学合格を目指している受験生がいますが、難しい問題でわからない場合は基本に戻って考えると以外と簡単に解決出来たことという経験は誰にもあると思います。塾偏重の時代ですが、学校の授業は基本的だけど非常に大切だと今になって思います。もう少し学生時代に真面目に勉強していたら、もっと違った人生だったかもしれません。そこが人生の面白いところではありますが、その当時はわからないですからね。


 スポーツの世界もまた同様です。野球に関していえば、基本練習というのは非常に大事で、ここが出来てない選手は成績が伸びません。基本練習を反復するのは退屈でつまらないものですが、そこをきちんとやれるかどうかでその選手の将来が変わってきます。ファインプレーも単なる基本的なゴロが取れなければできません。送りバントにしても、見た目には簡単なようで実は難しい。それをいとも簡単に出来る選手は基本がしっかりしている選手なのです。打撃は持って生まれたものがありますが、守備やバントは練習すればするだけ上手くなります。自分自身も野球部で基本の重要さを経験しました。


 バスケットも同じで、いかに難しいシュートを決めることが出来ても基本的なフリースローが入らず負ける試合というのは、嫌という程見てきました。シュートが入る選手のシュートの打ち方は基本がしっかりしていて非常に綺麗です。大方の人はどうしてもシュートを決める選手に目が行くのですが、実はバスケットもいかにディフェンスを頑張るかということが重要なのです。この基本練習もきつくて面白くないのですが、防御は最大の攻撃ともいわれるスポーツでもあります。実は強いチームほど基本的なディフェンスをしっかり練習しているチームなのです。


 自分自身も毎日外来診療を行っていますが、どうしても基本的なことが出来なくなってきているように思うこともあります。挨拶は出来ているか、目を見て話しているか、意見を聞くといったようなことがきちんと出来ているのか、流れ作業にならず一人一人をきちんと診察しているのか。言い出せばきりがないですが、もう一度基本に立ち返り日々の診療にあたりたいと思っています。基本的なことは簡単なようで実は一番難しいのかもしれませんね。



【2015年2月】
よしもと小児科 吉本寿美

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