第191話 暖冬の影響
大方の予想通り、この冬はエルニーニョ現象の影響で暖冬となっています。先日は夏のように暑い日もあって、各地ではいろいろな影響が出ているところもあるようです。特に積雪が少ない影響は大きいようで、スキー場やスケート場では営業が出来ないといったニュースも目にしました。暖かいから手放しで喜ぶわけにもいかないところもあるようです。果たして今年の夏はどうなるのか、ちょっと気になるところではあります。
暖冬の影響は花粉症の方にも大きな影響を与えているようです。今シーズンは例年よりもかなり早くから花粉が飛び始めたようで、2月に入ってから症状を訴えるお子さんが増えてきました。特に、以前に比べると症状を発生するお子さんが増えたように感じます。この傾向はこれからも続くのではないでしょうか。小児科医でも出来ることはたくさんありますので、耳鼻科の先生に任せるだけではなく、やれることはこれからも積極的にやっていかねばならないと思っています。
暖冬とはあまり関係ないと思いますが、この冬は久しぶりにインフルエンザのB型が流行しました。昨年末にA型に罹患された方が多かったので、例年通り1度罹患したら2回は罹患することはほとんどないと思っている方も多かったようです。特に今年はA型とB型の両方に罹患する方が目立ちました。B型の流行はいつぶりになりますでしょうか。ネットでは10年に1度の大流行という記事をみました。またとある論文ではB型はコロナの流行により、消えてしまったというのもみたことがあります。ところが、コロナの流行がやや落ち着いた頃に一気にB型の流行が始まりました。ウイルスとはしたたかなものだというのを改めて感じました。
ただ暖冬だから小児科がゆっくりなるかと思っていたら、この冬はそうでもない状況でした。発熱の患者さんが減るだろうと思っていましたが全く減る気配もなく、2月は開業してこれまでで一番忙しい2月のように感じました。インフルエンザをはじめ、検査をするケースもかなり増えた影響で、これまでよりもかなり待ち時間が増えてしまいました。ただこれはコロナの影響で感染症がほとんどなかった反動かなと思いますので、今後はこのような状況は落ち着いていくのではないかと考えています。こんな言い方は良くないかもしれませんが、小さい頃にはいわゆる「風邪」のような軽微な感染症にはたくさん罹患しないと、後から一気にこの冬のような状況になってしまいます。ほとんど感染症が流行しなかったコロナの3年間の影響はとてつもなく大きかったと感じています。
そして例年だとこれから喘息のお子さんが増えてくるのですが、果たして今シーズンはどのような状況になるのでしょうか。ここ最近はこれまでのような感染症の季節感が無くなってしまいましたので、この時期にはこの病気が流行るよねという、小児科医にとってはわかりやすかった診断がここにきて難しくなってきました。季節感が無くなったのは、コロナの流行で感染症が激減したのが影響を及ぼしているのは間違いないとい思いますが、ここ最近の暖冬の影響も間違いなくあるのではないかと思います。もしかしたらインフルエンザは冬場に流行するという常識が通用しなくなってくるのかもしれません。何ともやりにくい時代になったものです。
【令和6年3月】
よしもと小児科 吉本寿美