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第66話 初心を忘れず

小児科医のつぶやき|第65話 改めて健康について思うこと

早いもので、開業して10年が経過しました。この10月より11年目に突入します。当初はどうなることやらと思っていましたが、優秀なスタッフに支えられ何とかここまでやってくることが出来ました。また、当院の診療方針に共感して受診して下さる保護者の方にも感謝いたします。


当院は不要な薬、特に抗生剤を出さないという診療理念を全面に出しての船出でした。今では当たり前になってきましたが、当初は困惑される方も多かったようです。受診したら薬を貰って当たり前という時代でしたので、なかなか納得してもらえないこともありました。その度に、「薬出したら簡単に終わるのだけどな~」と思ったこともありました。ですが、子ども達のためと思って説明に時間をかけた結果、何とか今では理解してもらえるようになりました。


開業当初と比べて大きく変わったことと言えば、やはりワクチンの種類が大幅に増えたということではないでしょうか。同時接種は以前では考えられませんでしたが、現在では当たり前になってきました。ワクチンの種類も増え、子ども達にとってはいい時代になりました(接種される子ども達はたくさん打たれるので、いい時代ではないのかもですけど)。お陰で、最近では病気の種類も変わってきたように思います。数年以内には任意接種のワクチンも定期接種に移行するであろうと言われていますので、そのうち水痘やおたふくかぜも診たことがないという小児科医が出てくる時代になるのでしょうか。


それから、最近目立ってきたことと言えば、情報化社会のため保護者の方は事前にネットで検索して受診されるケースが多くなったことです。但し、いろいろなことが書かれているので、全然心配ないようなことまで調べて心配されることも多くなりました。例えば、頚部や頭部のリンパ節が触れて受診されるケースがかなり多いのですが、ほとんどが正常のリンパ節です。統計学的には熊本で悪性疾患のお子さんの発生は年間10例ほどではなかったかと思いますので、滅多にガンなんかありませんよ。でなければ、小児科医はたまったものじゃありません。


その他では、こうやってHPで情報発信できるようになったのは大変便利になったと思います。なかなか診療時間内に伝わらない思いが伝えられるのは、とても助かります。以外とこの記事を読んでくださる人が多いのも驚いています。インフルエンザワクチンの予約も簡単に出来るようになり、昔は電話が鳴りっぱなしだったのを考えればいい時代になりました。思い出すのも恐ろしいくらいですが、新型インフルエンザの時には2日間は電話が繋がらず、予約開始日には病院の前に長蛇の車の列が出来たのを思い出します。


さて、これから11年目に突入する訳ですが、特に何も変わるものはありません。最近の流行で予約制を希望される方もいらっしゃいますが、当院は今後もいまの体制で診療を続けて行く予定です。予防接種もますます増えていくでしょうから、それに伴って薬を出す頻度も少なくなっていくのではないでしょうか。優れた検査キットも今後市場に出回ると、特に抗生剤については今以上に処方する頻度は減っていくと思います。その一方で、これからは心に悩みを持つ子どもが確実に増加するでしょうし、アレルギー疾患のお子さんも増加している印象があります。自分の頭には白いものが目立つ歳にはなりましたが、生まれ故郷に少しでも恩返しをすべくこれからの10年も初心を忘れず、「明るく、楽しく、元気よく」の精神で診療に励みたいと思います。



【2013年10月】
よしもと小児科 吉本寿美

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