菊陽町のよしもと小児科です

お問い合わせ・ご相談はお気軽にどうぞ
Tel.096-233-2520
トップページ >  第90話 インフルエンザワクチン接種について

第90話 インフルエンザワクチン接種について

小児科医のつぶやき|第90話 インフルエンザワクチン接種について

 今年もまたこの時期になってきました。当院でも予約が始まっており、最近はみなさん慣れたもので、ぱっと予約を完了されるようです。特に夕方と土曜日は希望者が殺到してすぐに埋まってしまい、確認したところ既に多くの予約が入っており、当院で接種出来ない方もいらっしゃいます。幸い当院周辺では今年も行政からの補助が出ますので、どこの施設でも同じ金額で接種が出来ます。あとで述べますが、1回だけならまだ当院でも予約は可能かと思いますのでご検討ください。


 インフルエンザワクチンについては、今年は変更点があります。これまでワクチンに含まれるウイルスの株が3種類だったのが今年からAB共に2株ずつ入ることになりました。今年の冬は接種したのに罹患したという方がかなり多く受診されましたので、今度の冬はこのような状況が以前より改善されるかもしれません。でも3価から4価に変わったために納入価が上昇してしまい、接種料金を値上げせざるを得ない状況になりました。その結果として、接種料金が上昇すると接種する方が減少することも十分予想されます。そうなれば、インフルエンザの流行を防げないという可能性もあり、難しい問題ですね。


 難しいといえば、接種回数をどうするかという問題があります。3歳未満のお子さんは接種量が成人の半量ですので、2回接種が必要だというのは間違いないところだと思います。では、3歳以上のお子さんはどうするかというと、先生によっても意見の分かれるところではあります。接種量は成人と同じですから、成人と同じく1回接種でもいいのではないかと言われる先生もいらっしゃいます。事実、1回接種と2回接種で抗体上昇率を調べた実験では、あまり上昇率が変わらない結果であったという論文を読んだことがあります。2回接種したほうがいいに越したことはありませんが、2回接種しても罹患することもありますのでこの問題はなかなか結論が出ません。ここは最終的には保護者の方の判断になってきますが、医学的には1回接種でもいいようにも思います。


 それから、接種時期についても毎年よく質問されます。インフルエンザの流行時期が年末からだと考えれば、11月中には少なくとも1回は終了していた方が無難でしょう。昨年のように12月に流行が始まる年もあります。接種して抗体を獲得するのに2週間程度の時間を要しますので、逆算したら11月までにということになります。10月に接種してもおおよそ半年程度は効果が持続すると言われていますので、早すぎることはないと思います。


 最近はワクチンの種類が多くなって、なかなかスケジュールが立てにくく困ることもしばしばあるかと思います。上手に組み合わせればぱっと終わる方法もありますので、わからない場合にはご相談いただければと思います。特にこの時期に1歳の誕生日を迎えるお子さんは、いきなりワクチン接種が増えます。そこでインフルエンザも接種しようとすれば、どれを先にやったらいいのやらわからないということもしばしばです。インフルエンザは3週間程度空けて2回接種しますので、そこに何かを同時接種すれば意外とすんなり終わってしまいます。ですが、この時期どうしても病気をしがちですので上手くいかない場合もあります。ワクチンも大事なのですが、やはり感染しないようにするという予防も重要になってきます。流行したら人混みを避ける、手洗いうがいをきちんとする、十分な休息と栄養を心がけるといった基本的なことがワクチン以上に大事なのかもしれません。ワクチン接種をしなくても罹患しない人も多くいらっしゃることを考えると、ワクチンが全てではないことがわかります。


 当院はインフルエンザワクチンだけはネットでの予約になっており、既に多くの予約で埋まってきています。予約が取れないという不満の声も聞きますが、定期接種もやっていかねばならず、どうしても限界がありますのでこの点はご了承ください。小さいお子さんがいらっしゃる家庭は、保護者の方を始め周囲の方がワクチン接種を含めた感染予防を行うことも重要でしょう。



【2015年10月】
よしもと小児科 吉本寿美

< 第91話 野球部の仲間第89話 野球は人生そのもの >

ページトップへ戻る
Copyright (C) 2012 yoshimoto Pediatrist Clinic, All Right Reserved.