菊陽町のよしもと小児科です

お問い合わせ・ご相談はお気軽にどうぞ
Tel.096-233-2520
トップページ >  第107話 予防接種再考

第107話 予防接種再考

小児科医のつぶやき|第107話 予防接種再考

 何度もこの場で投稿しているテーマではありますが、ここ最近考えさせられる事例がいくつか続きましたので、改めて自分なりの考えをまとめたいと思います。興味のない方はスルーしてくださいね。


 最近はネットの影響というのは凄まじく、当院のホームページを見ていらっしゃる方も多いようです。そこにはどんな病気が流行っているかとか、ワクチンの在庫状況や、休診情報など、一通りの情報を掲載しています。また、この月一回更新のつぶやき原稿を楽しみにしているという方も意外と?いらっしゃいまして、本当にありがたいことです。


 当然、ネット社会のいいところでもあり悪いところでもあるのですが、どこからでも誰もがホームページを見る事が出来ます。ここ最近、ホームページを見ましたといって電話をかけて来られるケースが続きました。しかも、東京など熊本以外のところからなので、なおさらびっくりです。抗生剤を使わないという方針に賛同するので、自分の住んでいるところにも同じような小児科医はいないだろうか、というのをよく聞かれます。「最近は薬を出さない小児科の先生が増えましたので、きっとどこにでもいい先生は沢山いらっしゃると思いますよ」と返答します。まあ、当院の診療方針に共感していただくのは嬉しいことなのですが、その後に何故か必ず予防接種は受けたくないという話になってきます。


 当院は確かに不要な抗生剤は出しません。さすがに溶連菌やひどい細菌感染症、肺炎などには処方しますが、軽症の中耳炎や緑の鼻水などは絶対に抗生剤は処方しません。子どもの病気の大半がウイルス感染症で抗生剤を使わなくても治癒するからです。しかし、これを続けるには重症の感染症を予防しなくてはなりませんので、その為にも予防接種は絶対にやって欲しいのです。当院は予防接種についてはうるさく指導します。当然任意接種についても推進派です。罹患したほうがいいという考えの方もいらっしゃるようですが、それは間違いです。少なくとも定期接種のワクチンを接種させないのは、小児科医からいわせれば一種の虐待にあたると思います。


 ですが、どんなに病気の危険性を説明しても、いろいろなネガティブなサイトを見られて受けませんという保護者の方もいらっしゃいます。まあ、そういう方は当院を受診されることはほとんどありませんし、来られても次から来られることはありませんが。それはそのご家庭の主義主張なので勝手にしてくださいと思いますが、その子が罹患して他のお子さんにうつしてしまうというのが全くもって迷惑な話なのです。また、その子が大人になった時に予防接種をしていないと知ったら、どう思うでしょうか。予防接種さえしておけばこの子の命は助かったのにという経験を何度もしてきましたので、それも時間をかけて話しますがほとんど通じません。かえってこっちが疲れてしまいますので、最近はとある地域の健診ではやってないお子さんを見つけても推進するのをやめました(予防接種をやらないという方が多く住まれている地域が、熊本でも実際に存在します)。


 いろんな考え方があっていいとは思います。ですが予防接種を受けないという考えは間違っており、間違っていると伝えるのも大事なことのように思います。抗生剤を使わないという方針に賛同していただくのは非常にありがたいことですが、そのためには予防接種をきちんとやるというのが大前提になります。それがなければ、病気が蔓延する可能性があり僕も抗生剤を出しまくるという診療をせざるを得ません。これを読まれる方は、ほとんどの方が予防接種もきちんと任意までされる方だと思います。予防接種を受けさせないという方は、当院を受診されない方がいいかと思います。うるさく言われますし、気分を害されると思いますので。


 最近、予防接種についての問い合わせが立て続けにありましたので、このような文章になりました。どうか、予防接種で防げる病気は予防してお子さんを病気から守ってあげましょう。小児科医の切なる願いです。



【2017年 3 月】
よしもと小児科 吉本寿美

<第108話 再会第106話 かかりつけ医とは >

ページトップへ戻る
Copyright (C) 2012 yoshimoto Pediatrist Clinic, All Right Reserved.