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第76話 夏の病気あれこれ

小児科医のつぶやき|第76話 夏の病気あれこれ

 夏は小児科医にとっては少しほっと出来る時期です。病気のお子さんは少なくなります。熱が続く病気もさほど流行しませんし、診断に苦慮するケースも冬場に比べたら少なくなります。9月頃まではほっと一息といったところでしょうか?つぶやきを読み返してみたら、夏に流行する病気について書き留めた事がなかったので、今回は子どもに流行る夏の病気について考えてみたいと思います。



①ヘルパンギーナ

 夏かぜといわれる、夏場に流行する代表的な疾患です。症状としては、喉の痛みと発熱です。診察すると咽頭に水泡が見えますので、診断は比較的簡単です。残念ながら特効薬はありませんが、熱が続く事はありません。痛みはしばらく続きますが、ご飯が食べられるようになったら登園は可能です。今年はやや多いように思います。めったに(たまにいらっしゃいますが)成人にはうつりません。

②手足口病
 これもヘルパンギーナと同じく、夏場に流行する代表的な疾患です。症状は手、足、口、膝、肘、臀部に水泡が出来ます。ひりひりして痛みがあるようです。熱も出ますが、これも熱が続くことはありません。最初咽頭の所見のみで「ヘルパンギーナですね」と言っていたら、数日後に他の手足などに水泡が出現して「実は手足口病でしたね」となることもよく経験します。これもウイルス感染症ですから、基本的に薬はありません。解熱して元気ならば発疹があっても登園は可能です。なぜかというと、ウイルスは1ヶ月程度排出していると言われているからです。ですので、数日休んだところで感染予防の意味はないということなのです。それから、稀ですがEV71というウイルスの手足口病は脳炎を起こす事があります。これは脳幹脳炎をおこすこともあり、そうなると命にかかわることもありますので、手足口病で痙攣を起こした場合は注意が必要です。

③突発性発疹?
 熱が1、2日程度で下がりその後からだ全体に発疹が出てくるお子さんが夏には急に増えてきます。突発でしょうかといって来院されますが、恐らく違うウイルス感染症による発疹ではないかと思われます。発疹の形はそっくりですので絶対に違うとは言い切れませんが、突発の場合は3~4日間高熱が続くことが多いようです。どちらにしても何もすることはなく、経過観察のみです。痒みもなく、比較的元気なお子さんが多いようです。

④喘息
 以前は夏場には喘息のお子さんは少なかった印象がありますが、ここ数年なぜか夏場にも喘息のお子さんが増えた印象があります。PM2.5や黄砂の影響は多分にあるようです。それから、エアコンも関係しているように思います。今や夏には必需品ですが、業者に依頼して掃除をしないとダニやハウスダストを吸っている状態になります。気候の変動も最近は激しいのでそれも関係しているかもしれません。気圧を変動させる台風も影響しますのでご注意ください。


 おおよそ、このくらいしか夏場には病気が流行りませんのでこの時期には小児科医はリフレッシュ出来ます(病気も少ないので、毎年この時期に夏休みをいただいております)。ここで皆さんには、熱が出ても子どもの感染症は大半がウイルス感染症ですので、熱だけで薬(特に抗生剤)を飲む必要はないということを是非とも知ってほしいと思います。小児科医にとっては時間をかけてしっかり説明出来る季節でもあります。



【2014年8月】
よしもと小児科 吉本寿美

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