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第163話 体を動かそう

小児科医のつぶやき|第163話 体を動かそう

 暑かった日もあっという間に秋というか冬の模様を呈してきました。朝夕はひんやりというか寒くなってきて、いつもながら熊本の秋はどこにいったのやらという感じです。毎年のことながら、春秋の短さには改めて驚かされます。これからあの寒さがやってくるかと思うとちょっと憂鬱ではありますが、今年の冬の寒さはどんな感じなんでしょうか。例年並みという予報も出ていますが、ということは寒くなるってことでしょうね。    


 寒くなってくると、どうしても外に行くのがおっくうになってしまいます。ですが、今こそ外に出て体を動かすことをやってみませんか。これまでは簡単に外出することさえ出来ませんでしたが、コロナの感染拡大も落ち着いてきたようです。これからまたどうなるかはわかりませんが、今こそ体を動かすチャンスではないでしょうか。外に出ればモヤモヤした気分も晴れるでしょう。そしてこれまでとは違った景色に出会うことが出来るかもしれません。    


 実は数年前から、菊陽町をはじめ菊池郡市2市2町は、肥満検診という事業を開始しました。小学校4年生が対象になりますが、以前よりも肥満のお子さんが増えたように感じます。当院でも久しぶりに受診されたお子さんが、かなり体重が増えた状態になっているのに驚かされるケースが増えてきました。話を聞くと、自粛期間中に動くことが出来ずどうしても食べることが多くなってしまったというのが理由のようです。外出もままならないので、動くことができなかったのでは仕方ないことかもしれません。ただ、肥満だけであればいいのですが、時々急いで治療をしないといけないケースもありますので注意が必要です。高血圧、肝機能障害、高脂血症などを認めるお子さんが実際にいますので、びっくりさせられます。成人病予備軍ではなく、すでに成人病そのものの状態なのです。  


 では、そのようなお子さんに対してどうするのかがこれからの課題となるのですが、基本的には一般的に言われているように食事と運動になるかと思います。「言うは易く行うは難し」とはこのことで、まあなかなか食生活を変えるというのは難しいことです。腹八分と言われても、ついついお腹いっぱい食べてしまうものです。となると、体を動かしてエネルギーを消費することが大事になってくるようです。でも、これまたかなり大変で、なかなか肥満傾向の人が動くというのは簡単なことではないようです。いわゆる、肥満→身体が重くて動けない→さらに肥満が進行するという悪循環になってしまいがちです。    


 でも、自分もそうでしたが体を動かすのは最初の一歩を踏み出せばその後は意外とスムーズにいくものです。最近は涼しくなってきましたので、先ずは少しずつ短い距離から歩いてみられることをお勧めします。走る必要はありませんので、誰にでも簡単に出来ると思います。時間も最初は10分でも15分でもいいのです。慣れていったら少しずつ時間を伸ばしていけば、すぐ1時間くらいは何の苦労もなく歩くことが出来る様になると思います。そうすれば、体のみならず頭もすっきりしてくると思いますよ。     


 これまでの自粛生活もそろそろ終わるのではないかと思います。以前のような普通の生活が戻ってくると期待しています。但し、まだ大勢で集まっての行動は出来そうにありませんので、先ずは一人でも気軽にやることが出来そうな、歩くという簡単な運動をやってみましょう。大人も子供もこれまでの生活を見直して、新しい暮らしへの第一歩を踏み出しましょう。



【令和3年11月】
よしもと小児科 吉本寿美

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