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第58話 謙虚さと笑いが幸せを呼ぶ

小児科医のつぶやき|第58話 謙虚さと笑いが幸せを呼ぶ

さすがに年が明けると寒さも厳しくなり、例年のようにインフルエンザの流行が始まったようです。今年は成人の方が多いようで、そこから小児へと感染していくのでしょうか。小児の流行はまださほどでもないようですが、これからしばらくは注意が必要のようです。 話は変わりますが、お正月の箱根駅伝をご覧になられたでしょうか。1ヶ月前なのにかなり昔の事のように思ったりもするのですが、今年もご多分に漏れず、往路復路とずっと観てしまいました。その後の新聞記事で増田明美さんの書かれた記事に目が止まりました。記事の内容は、強い気持ちを持っている選手がいると、チームの雰囲気が良くなり、志気が上がるというものでした。優勝した日体大は、3年生の服部キャプテンが先頭に立ってよくやったという印象があります。反対に弱音を吐き、愚痴ばっかり言う選手がチームにいれば、そのチームは力を発揮出来ないそうです。確かに駅伝は個の力も重要ですが、チームとしてどこまでまとまるかも大切になってきます。また走る選手だけでなく、控えの選手や裏方さんの力も忘れてはなりません。


ところで、その記事には将棋の米長名人の信条としている言葉も書かれていました。「どの世界でも幸せに生きている人に共通しているのは、謙虚さと笑いです」というものでした。これは簡単なようで以外と難しいものです。謙虚さは順調に物事が運んでいっているとき程、忘れてしまいがちです。自分自身もそうならないようにと心がけているつもりですが、きちんとやれているでしょうか。笑いも同じで、上手くいかないとき程、笑いが重要ではないでしょうか。笑いは病気を治すとも言われています。診察する際にも、出来るだけ明るく話すように心がけています。病気を心配されている保護者に方にも、時と場合にもよりますが笑って話すくらいがいいのこともあります。


また別の記事で、ロアッソ熊本の北嶋選手はプロ1年目に「お前は逆境になると人のせいにするし、環境のせいにする」と当時のコーチであった現在ロアッソ熊本の池谷社長から言われて、自分と向き合うようになったというのを見ました。慣れてくると、どうしても人間は自分が見えなくなってしまうものです。謙虚さというのはスポーツの世界にも当てはまるものですね。


このようなことは、我々医療の現場でも同じ事が言えます。チーム医療ですのでみんなが同じ方向に向かっていかなくてはなりません。医者だけで患者さんを治すことは無理で、そこには保護者の協力、看護師さんや受付の方などの力も必要となります。その力が結集されて初めてきちんとした医療が成り立つのではないかと思います。そして、どんなに忙しくても幸せを届けるために謙虚さと笑顔をいつも忘れずやっていかなくてはなりません。「明るく、楽しく、元気よく」が昔からの自分のモットーです。



【2013年2月】
よしもと小児科 吉本寿美

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