第43話 人の振り見て…
先日、毎年恒例の健康診断に行ってきました。日頃は逆の立場ですから、ここぞとばかりに看護師さんや受付の方の振る舞いに注目しました。ついでに、待合室の雰囲気もじろじろと見学させていただきました。さすがに人気のある病院だけあって、丁寧な対応には頭の下がる思いでした。日頃このような丁寧な対応には慣れていないせいもあって、すこしむずがゆい感じがしました。まあ、高齢の方にはこれが何ともいえない心地よさなのかもしれませんが。これを今後の診療にどこまで活かせるかわかりませんが、参考にさせていただきたいと思い帰ってきました。で、検診の結果は、「もっと痩せて下さい」だそうです。頑張らなくては!
話変わって、開業していると他の先生の処方箋をみる機会も多いのですが、その内容からこの先生はどんな診療姿勢なのかというのがある程度わかります。参考になる処方もあれば、薬が多くてとてもこんな処方じゃ子供は可哀想というのもあります。まだまだ日本の薬は多すぎるように思ってなりません。逆に他の先生からすれば、僕の処方はいつもこのくらいの薬しか出さないなとか、もっと抗生剤出せよとか思われているかもしれません。ですが、子供たちのことを考えればそんなにたくさんの薬を飲まなくても治る病気って多いのですけどね。
当院では他のクリニックと同様に、予防接種の際には同時接種を積極的に行なっています。他のお子さんがどうしているのかというのも参考になるかもしれません。薬をあまり出さない代わりに、予防接種についてはしつこく、うるさく言っていますので、かえって逆効果で受診されなくなった方もいらっしゃるかもしれませんが、それは仕方ありません。定期接種はもちろんですが、任意接種を受けられるお子さんの比率もかなり多いように思います。あの子も接種しているから、うちも接種しようというふうになっていけばいいのですが。3つ同時接種というのがぼちぼち根付いてきたようで嬉しいことです。これを行なうにあたっては、看護師さんのマネージメントが非常に重要なのですが、上手に予約を入れてもらっていますので本当に感謝しています。
また、日頃妻と2人で診察していることもあり、隣での診察風景を耳にする事が出来ますので、ああそうなのだとか、そういう話の持って行き方もあるのだなと反省させられる事もあります。妻から間違っている事を訂正されることも少なくありません。残念ながら、体力では妻には負けませんが頭脳ではとても妻にはかないません。そういえば、学生時代から妻は賢くて僕は再試の常連でしたから、妻の倍以上は試験を受けていますね。
どうしても独りよがりになってしまうクリニックの診察ではありますが、これからも隣にいる妻の診療姿勢を見習いながら、誠実な診療を心掛けていきたいと思っています。
【2011年11月】
よしもと小児科 吉本寿美
