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第81話 追い求めるもの

小児科医のつぶやき|第80話 今年を振り返って

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 まずは昨年を簡単に振り返ってみますと、例年とはかなり様変わりの1年だったように思います。まず、インフルエンザはいきなりB型が流行しました。いつもはA型が流行したあとにB型が流行するのですが、不思議でした。夏には手足口病やヘルパンギーナがあまり流行せず、その代わりに12月まで流行がみられました(夏のウイルス感染症と言われているのです)が、これも温暖化の影響なのでしょうか。病気も季節感がなくなり、ワクチン効果か全体的に患者さんも減少して、例年に比べるとのんびりした外来であったようです。と、思いきや12月から既にインフルエンザが流行し始めていますから、例年1月は夏みたいに閑散としているのですが、以外と新年早々忙しくなるような予感もします。


 さて、今年の小児科のトピックスとしては、春頃からいよいよ髄膜炎菌感染症に対するワクチン接種が始まります。あまり病気が知られておらず、任意接種となりますので、最初は接種される方は少ないと思いますが、当院では積極的に推奨していくつもりです。数年前、宮崎で高校野球部の生徒が寮で亡くなっていますので(劇症型)、まずは野球をやっている僕の息子には接種する予定です。小さいお子さんも好発年齢の疾患ですから、是非とも接種をしましょう。


 今年、何を追い求めていくのか自分なりに考えてみました。昨年を振り返れば、やはり当院が追い求めたのは予防接種でした。特に任意接種のおたふくかぜとB型肝炎の接種を推進してきたおかげで、多くのお子さんが接種を受けていただきました。その影響か、ここ数ヶ月はおたふくかぜの患者さんがいらっしゃいません。また、B型肝炎も2ヶ月から接種するお子さんが増え、非常に喜ばしいことです。今年も昨年同様予防接種の推進は引き続き行っていくつもりです。


 あとは、小児科医としてのあるべき姿は何なのかということを追い求めたいと思っています。果たして現在はどんな小児科医が求められているのでしょうか。今の診療姿勢でいいのかと言われたら自信はありませんが、最近は「抗生剤をはじめてとして、不要な薬を出さない」という自分の考えが少しずつ浸透して、受け入れられるようになったのではないかと思っています。先日も全く知らない、遠くの方から「遠くてそちらを受診出来ないけど、診療姿勢に感銘を受けた。これからも続けて欲しい」という趣旨のメールを頂きました。薬を出すのは簡単で、保護者の方には満足されるのですが、果たしてそれでいいのでしょうか。登園されているお子さんが園から「鼻水がひどいから受診してください」とよく言われますが、内服しても簡単には治りませんというのは何とか理解してもらえないでしょうか。発熱もなく、元気にしているのであれば問題ないのではないかと思いますが。


 今年も理想と現実の狭間で、もがき苦しむ小児科医となりそうな予感です。当院の考えを少しずつ理解して下さる保護者の方が増えてきたのがせめてもの救いであり、支えになっています。僕の診療の基本は、「明るく、楽しく、元気よく」です。これを今年も忘れる事なく、日々の診療にあたりたいと思います。


 番外編

 今年もオフで追いかけるものといえば、大小さまざまなボールです。年あけたら早速バスケットは中学、高校、プロと試合が目白押しです。サッカーは今季こそ、ロアッソはJ1を目指して欲しいものです。3月からは高校野球の練習試合が始まります。診療以外にも週末は追いかけるものが多くて、これまた忙しくなりそうです。



【2015年1月】
よしもと小児科 吉本寿美

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