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第31話 電子化の光と影

小児科医のつぶやき|第30話 ワクチンの治験

暑かった今年の夏ですが、さすがに寒くなってきましたね。どうなるのかと思いましたが、確実に冬がやってくるようです。何年経っても、熊本の急激な気温の変化には慣れません。幸い、現時点で昨年のようなインフルエンザの流行はないのでほっとしています。昨年の今頃は猛威を振るっていましたからね。


そこで思い出すのが、インフルエンザワクチンの予約です。昨年は数々の非難、暴言を浴びましたし、国の政策や報道に振り回されました。2度とあのような経験はしたくないという思いから、今季よりインフルエンザの予約だけはネットで行なう事にしました。若干のトラブルはあったものの、さすがというか若いお母さん方は慣れていらっしゃるのか、携帯を駆使してさっと予約されています。ただ、中には予約出来ないとかわからないという問い合わせもありましたし、よその医院さんにいつも当院で接種していたお子さんが多く流れているという話も聞きました。残念ながら、どうしても夕方と土曜日に予約が集中しますので、当院だけで接種するには限界があります。当初の予想よりトラブルも少なく概ね好評ですので、今の時点ではこれが公平かつベストの方法ではないかと思いますし、来季以降もこの方法を続けていく予定です。


それから、当院では現在電子カルテ導入に向けての準備を進めています。カルテの枚数も1万を超え、これからも増えていくカルテの収納問題が出てきました。最近の電子カルテもやっと使いやすくなったようですので、導入を決めました。電子カルテだと患者の顔を見なくなるのではという心配もありますが、そうならないように気をつけなくてはいけません。来年の4月頃に導入する予定で、最初はこちらも手間取り、ご迷惑おかけするかもしれませんがしばらくの間ご了承下さい。慣れてくれば、診療時間を今より短くすることが出来るのではないかと期待しております。


こうしてみると、いかにも電子化は簡単に仕事の軽減が出来るようになると思われますが、一方で暖かみがなくなるようにも感じます。大事な事は、医療の原点は人と人であり病気を治療するのではなく、人を治療するという事を忘れてはいけません。病気を治すのはマニュアル通りにやれば、そう難しくはないでしょう。しかし、1人1人それぞれの家庭環境や事情も異なり、例えば入院となった場合に簡単にできるご家庭もあれば、兄弟の面倒を見るものがいなくて入院出来ないケースもあります。このような微妙なケースはやはり機械任せではなく、会話や表情を通して得られる情報ですので、人と人のつながりが重要になってきます。


システムの電子化には、いい面も悪い面もあるようです。出来る限り、多くの方が満足出来る方法を探っていくようにしたいと思いますが、医療の基本は「人対人」というのを、今後も忘れないように心掛けたいと思っております。


【2010年11月】
よしもと小児科 吉本寿美

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