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第123話 季節と病気の関係

小児科医のつぶやき|第123話 季節と病気の関係

 梅雨真っ只中で青空が恋しい時期ですが、梅雨が開けると熊本の暑い夏がやってきますので、それはそれで大変ではあります。こればかりは何年住んでいても慣れることはありません。特に最近の暑さは、異常ではないかと思うくらいになってきましたので、エアコンなしの生活は到底考えられません。僕らの小さい頃とはかなり環境が変化してきましたね。


 さて、夏になると小児科の外来はのんびりとしたものになります。流行の疾患となると、手足口病やヘルパンギーナが主な疾患です。発熱が続くこともありませんし、解熱剤以外の薬が必要になることもほとんどありません。なので、何度も受診するようなこともありませんので、おのずと外来を受診するお子さんの数は少なくなるのです。ただ、稀に手足口病は脳炎を起こすようなタイプ(ETV71)が流行する年もありますので、この時は注意が必要となります。一般的には深刻な病態にはなりませんので、過度の心配は必要ありません。


 また、今年4月よりヒトメタニューモウイルス感染症の検査が簡単に出来るようになりました。以前からあった病気なのですが、この病気は3月から6月頃に流行する疾患で、気管支炎や肺炎になることがありますが、発熱が続いてもウイルス感染症ですので抗生剤は必要ありません。当院でもかなりの患者さんを診断しましたので、今まで以上に抗生剤処方量が少なく出来たのではないかと思います。そしてこれが収束した頃からRSウイルス感染症が流行してくることが予想されます。


 そしてRSの流行が落ち着いてくる年末から3月頃まではご存知のようにインフルエンザが流行します。インフルエンザとRSが一緒に流行するのはあまりないようです。ただ、インフルエンザは沖縄では夏に流行しますし、熊本でも検査すれば夏でもインフルエンザの患者さんはいらっしゃるかもしれません。但し、夏の時期に罹患してもあまり重症化することはないと思われますので、積極的に検査をすることはありません。恐らくばんばん検査をしたら、1年中インフルエンザの患者さんはいるのではないでしょうか。


 他に季節が関係する病気としては、喘息ではないでしょうか。朝と日中の気温の変化が大きくなってくる春と秋には、喘息のお子さんが何故か増えてきます。台風との関係もあるようで、気圧の変化が関係しているのかしれません。この辺りを予測して、予防薬の内服を行うケースも多いようです。ですから、真夏や真冬に喘息発作を起こすお子さんはさほど多くはないので、季節の変わり目に喘息発作が起きやすいというのを知っておけば、早めに予防することも可能だと思います。


  こうやってみると、小児科の外来はおおよそ毎年同じような流れで病気が流行っているというのがわかっていただけたかと思います。これを知っておけば、受診の際に少しは参考にできるのではないかと思います。検査をする際にも参考にすれば、何でもかんでも検査をする必要もありませんので、医療費削減にも貢献出来るのではないかと思います。


 最近は夏の暑さが厳しくなってきましたので、熱中症も気をつけなくてはいけないようになりました。どうしても集団生活をすると、流行りの疾患に罹患することは仕方のないことではありますが、何が流行しているかというのを頭に入れておけば早めに診断、予防が出来る可能性もあります。新聞に掲載される感染情報や当院の情報をぜひ参考にしてみてください。



【2018年 7 月】
よしもと小児科 吉本寿美

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