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第54話 頑張らない

小児科医のつぶやき|第54話 頑張らない

最近、診察をしながらふと感じる事があります。育児に一生懸命頑張っているお母さんはいつも応援したいのですが、時々少し頑張り過ぎではないかなと思うケースに遭遇します。先日も、毎日体重測定をしているというお母さんがいらっしゃいました。心配なお気持ちはわからなくもありませんが、少し冷静に考えてみましょう。母乳飲んだあとに測れば体重は増えていますし、排便後に測れば体重は減っています。昨日今日で、体重が増えたとか減ったとか心配してもそれは全く意味のない事です。体重は、1週間に1回程度計測して1日あたりの体重が20g以上増加していれば問題ないのですから。


体温についても同じで、元気なときに頻回に測る必要はありません。現在の体温計は予測体温計ですので、左右の脇でも違いますし時間も変われば同じ値を示すことはほとんどないと思います。赤ちゃんの体温は周りが暑ければ上昇しますし、寒ければ低下します。少しくらい熱があっても元気ならばそう心配ないと思いますし、熱がなくても元気がない場合は気をつけて観察する必要があるでしょう。


それから最近は、祖父母の存在も結構大きいみたいです。お母さんは全然心配していないのに、祖父母が「病院に行って薬もらって来なさい」というので受診しましたと言って来られるケースも多いようです。その場合は、不要だと思ってもお母さんの立場を考えて薬を出すようにしています。おじいちゃん、おばあちゃんには、「この程度は大丈夫」と言ってもらいたいのですが、一緒になって心配されるともうどうしようもありません。祖父母のために頑張っているお母さんのようにも思えてきます。昔のように大丈夫といってくれる人がいないというのが、夜間救急が多くなる原因なのかもしれませんね。核家族が増えてしまった現在では仕方ないことなのでしょうが。


育児を一生懸命頑張りすぎて、いっぱいいっぱいになっているお母さんには、「育児は適当にやったほうがいいですよ」とよくお話しする事があります。それを聞いて泣き出すお母さんも多いようですが、お母さんが倒れてはどうしようもありません。こういう時こそ、上手におじいちゃん、おばあちゃんを利用することです。ちょっとだけ面倒をみてもらって、気晴らしをするのもいいことではないでしょうか。それからまた頑張ればいいのです。


「頑張らない」というのは、誤解されかねない言葉ではあります。頑張らなければ育児なんか出来ないのですが、頑張りすぎないようにしてくださいという意味なのです。最近では、虐待も連日のように報道されていますが、自分の子どもを可愛いと思わないお母さんなんてどこにもいないはずです。なのに、いつの日からか子どもを可愛くないと思うようになるのです。こうならないためにも、お母さんには「頑張らなくてはいけない」けど「頑張らない、頑張りすぎてはいけない」ということをわかって欲しいと願っています。肩の力を抜いて、ボチボチいきませんか。



【2012年10月】
よしもと小児科 吉本寿美

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