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第26話 100%を目指して

小児科医のつぶやき|第26話 100%を目指して

ここにきて、カルテが増えたこともあり昔のカルテを整理していると、懐かしい名前を見つける事があります。この子は以前にはよく受診していたけど、今は姿を見ないな~、どうしているのかな、元気なのかなと懐かしんでいます。また、1回のみの受診で終わってしまっているお子さんのカルテもあります。出来るだけ、わかりやすい説明をして薬を出したり、検査をしたりしているつもりでも、もしかしたらなかなかうまくこちらの思いが伝わらなかったのかも知れません。


病院を受診される理由はいろいろです。薬が欲しい、このブツブツは何なのか、いつから登園していいのかなど。あるいは予防接種や健診だけに来られる場合もあるでしょう。大丈夫という一言が欲しくて受診される場合もあるかもしれません。最近でこそ、お母さん方の望んでおられることがわかってきましたが、それでも説明に納得されずに二度と受診されない場合もあるようです。


常に100%を目指してやってきましたが、どうもそれは無理だということがやっとわかってきました。こっちがどんなに次はこの日に受診して下さいねと言っても、治らないからと言って他の病院を受診する場合や、逆に治らないからといって他のクリニックの処方を持って当院を受診される場合もあります。ある統計では、1つのクリニックのかかりつけは7割程度で、その他の3割程度の方がショッピング(いろいろな病院を受診)されるというのが、この業界の常識のようです。


当院のように、薬はあまり出さない、予防接種についてはうるさく受けましょうと何回も言うようなところは、敬遠されて受診されないのかも知れません。ですが、それでいいのです。100%の方を満足させる事なんて絶対に不可能なのですから。70%の方に支持されていれば上等なのです。残りの30%の方については、残念ながら僕との考え方が違うのでということなのでしょう。


そう考えたら、肩の力が少しは抜けるようになりました。開院した当初は、こんなに一生懸命やっているのだから、みんなわかってくれて多くの人が受診してくれるよねという気持ちがどっかにあったのかも知れません。きっと100%を目指していたのでしょう。しかし、ここに来てわかってもらえる人だけが来てくれて、そこに全力を注いだらいいかなと思い始めたら、日々の診療もとても楽になりました。70%の支持があるということはものすごいことなのです。「ここの病院しか行かないって言うのです」とか「ここの注射は痛くない」とか言われたら、それはもう僕にとってはルンルン気分で、よかったなあと思ってしまいます。


こんな小児科医でも頼って来てくれる患者さんがいるということを、誇りに思います。これからも理想は100%ですが、まずは70%を目標に頑張って行きたいと思います。大学時代は野球の練習ばかりでろくに勉強もせず、試験の60%が取れずに再試ばかり受けていた僕にとっては、70%を目指すのはこれまた壮大な目標でもありますが、今後もぼちぼち頑張りたいと思っています。


【2010年6月】
よしもと小児科 吉本寿美

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