第11話 健康っていいな~
今年のインフルエンザはあまり流行しなかった印象があります。やっと小児科医にとっても嫌な季節が終わろうとしています。世間では「タミフルが効かない」とか言われていましたが、僕自身はそのような印象は無くむしろ今年は軽症で終わった方が多かったように思います。タミフルを出さなかった方も多くいらっしゃいましたが、それでも数日で解熱する方が多かった印象があります。ワクチンの効果もある程度あったのではないかと思いますので、これからもワクチンは毎年欠かさず接種しましょう。
病気せず元気な時には何も感じませんが、最近健康っていいなと感じる事が多くなりました。個人的な事で申し訳ないのですが、妻が先日手術のため入院しました。数年前にも入院した事があったのですが、その時は子供達もまだ3人とも保育園でしたので、保育園の送迎などもあり大変でした。幸い、今回は子供達も大きくなりある程度は自分達で身の回りの事をやってくれましたので楽でした。自分自身も毎年恒例のように胃腸炎に罹るので、この時ばかりは健康のありがたみを感じます。
同じような経験はみなさんにもあると思います。例えば、お子さんが病気になった時にはものすごく心配されると思います。しかし、普段元気な時にはあまり健康のすばらしさには気付きませんよね。健康が当たり前なので、「もっと言う事を聞いてくれないかな」とか「もう少し勉強して成績がよくならないかな」など、親の欲望というのはどんどん増していきます。しかし、病気をすればこんなことはどうでもいいから、早くよくなってくれと思いますよね。当たり前のことは空気と同じで、いつもはそのありがたさに気付かないものです。
つい先日も、先輩が不治の病で闘病されているという連絡を受けました。かなりショックを受けましたが、病気は誰にでもふりかかることで避ける事が出来ません。以前専門としてやっていた小児がんも同じ事で、突然誰にでも発病してしまう可能性があります。ご家族は「なぜ我が子が」という思いを抱かれますが、このような病気は医学の発達した現在でもどうしても防ぐ事は出来ません。ですが、感染症については予防接種にて予防出来るものもありますので、これからの時代は予防して病気にならないようにしましょう。あとで、しまったと後悔しても遅いですから。
時々は皆さんも健康について考えてみましょう。健康でなければ、家族から笑顔も消えますし、充実した生活を送る事は出来ません。子供については、言う事聞かなくても、勉強出来なくても、元気に遊んで笑顔を見せてくれるならばそれが一番だと思います。健康って改めて大事なことですし、なんてすばらしいことなのだろうと最近しみじみと感じています。年とったからかな?
【2009年3月】
よしもと小児科 吉本寿美