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第167話 ネット社会に想う

小児科医のつぶやき|第167話 ネット社会に想う

 今回の冬季オリンピックも残念ながら無観客ではあったものの、個人的には意外と盛り上がったように思います。日本人選手の活躍には何度も興奮させられました。結果が全てなのかもしれませんが、4年間頑張ってあの舞台に立てること自体が素晴らしいものだと思います。メダルが取れたら一番よかったのかもしれませんが、そうでなくても堂々と戦った姿に感動を覚えた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。


 ただ、今回もロシアのドーピング問題が出てしまい、熱戦に水を刺す結果となりました。15歳の少女にはとても辛い出来事ではなかったかと思います。しかもなぜこの時期にと思わずにはいられませんが、ネットでは色々な記事を目にしました。真実は1つですから今後はこのような悲劇が起きないようにして欲しいと思います。また、中国のスケート選手がメダルを取れなかったことで、ものすごいバッシングをネット上で受けたという報道もありました。たまたまその選手が帰化選手だったというのもあるのでしょうが、結果だけを捉えて一斉にというのは如何なものかと思います。なかなか自由な発言が制限されているお国柄というのもあるのでしょうが、選手のことを思うと不憫でなりません。ネット社会の怖い一面を見たように思います。    


 病院受診についてはネット環境の発達のおかげで、最近は受診前に色々調べてこられる方も増えてきました。それはそれでいいのですが、あまりにいろいろと調べすぎるのもどうかなというケースをたびたび経験するようになりました。ネットで病気について調べたら、いきなりとんでもない病名を目にすることがよくあります。例えば「小児の発熱」で検索したら「白血病」というのが出てきます。もちろん白血病も発熱を症状とすることはありますが、ほとんどの小児科医は最初から発熱で白血病を考えることはまずありません。調べすぎると不安だけが大きくなりますので、検索は程々に参考程度にされることをお勧めします。  


 一方、ネット環境の発達は我々の日常生活を一変させました。いろいろなお店や施設を調べることが一瞬にして可能となりました。これは非常に便利ですが、なかなかネットの評価と実際行ってみたら違ったということもよくあります。なかには書き込みを専門にするような業者もありますので、やはり自分で行ってみることが一番ではないかなと思います。他の人がいいと言っても、いざ行ってみたらそうでもなかったという経験は誰しもあるのではないでしょうか。病院探しも似たようなもので、一度受診してみるのがいいと思います。先生の人柄や治療方針などは、実際に行ってみたほうがはっきりすると思います。自分に合うか合わないかというのは、個人差もありますのでなかなか難しいものです。    


 これからもネット環境はどんどん進歩していくと思います。リモートの授業や会議というのも、コロナ渦で今や当たり前になってきました。今の子どもたちは当たり前のようにネット環境の中で生活を送っていくことでしょう。ところが、それだと直接会って話すということがなくなってしまい、コミュニケーションを上手くとれない子どもたちが今後増えてくるのではないかと危惧しています。最近ではカット中に喋らない美容室も人気があるといいます。個人的には会話を楽しむ場所でもあるのではないかと思っていますので、なんだか寂しいものですね。ネットは便利な反面、危険な一面も持っていますので上手く付き合っていく必要もあるのではないでしょうか。溢れる情報から有益な情報を選択して、日頃の生活に活かしていくことがこれからは大事になってきますし、何事もほどほどがいいかと思います。  



【令和4年3月】
よしもと小児科 吉本寿美

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