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第184話 改めてワクチンを考える

小児科医のつぶやき|第184話 改めてワクチンを考える

 コロナが5類感染症になった途端に、子どもたちの発熱が急増しました。特に7月はかつてないほどの受診者数で、多くの方に待ち時間が長くなってご迷惑をおかけしたのではと心配しています。出来るだけ早く診察するように心がけてはいましたが、半数以上が発熱の患者さんでしたのでうまく対応することが出来ませんでした。このようなことは開業して初めてのことです。しかも、こんな夏の時期にインフルエンザが流行するし、コロナのお子さんも結構診察しましたし、びっくりです。また小さいお子さんはR Sやらヒトメタやら、診察と検査に時間を取られてしまうことも少なくありませんでした。またかかりつけが予約でいっぱいだったのでという理由で初めて受診されたお子さんも少なくはありませんでした。3年間病気が何一つ流行らなかった反動はここまで大きいのかとびっくりしています。これからどうなるのか、ちょっと気がかりではあります。    


 話は変わりますが、ご存知のように当院ではワクチンの予約を6月からネット予約に変更しました。6月は予想通り、予約状況は低調でした。なかなか慣れていらっしゃらない方も多かったようです。ところが、初診のお子さんも結構予約が入るようになってきて、7月は6月よりも予約が埋まるようになってきました。当院はおたふくかぜや年長時の三種混合やポリオの接種を積極的に勧めています。ほとんどのお子さんが1歳と年長時にはおたふくかぜを接種されますので、早く定期になってくれることを願っています(但し、あとしばらくは定期にならないのではないかという話です)。


 水痘に至っては、近年ではほとんど患者さんを診察することはなくなりました。先日久しぶりに診察しましたが、ワクチンを全くされていない兄弟でした。せめて定期接種だけでも接種してもらえたらと思いましたが、かかりつけのお子さんではなく、かなり難しいようです。そのうちまた百日咳も流行してくるのではと危惧しています。幸い当院では3種混合を接種してくださるお子さんが増えてきましたので、こちらも早く定期接種になってくれるのを期待しています。4種混合も2ヶ月からの接種に変わりましたので、この効果が出てくれることを期待しています。そしていよいよ来年からは5種混合が登場する予定のようです。  


 また最近では子宮頸がんワクチンを接種するお子さんもかなり増加してきました。まだまだワクチンに対する誤解があるようで、保護者の方の不安を取り除くのが難しいと感じています。ただ話してみると、意外としようかどうか迷っていましたという返事が多く、結果接種しますというご家庭が増えてきました。対象者が病院に来る機会が少ないので、いかに対象者を見つけるか、そして接種してもらうようにお願いするかが、これからの鍵のようです。キャッチアップの対象者の無料接種もまだ接種率はよくないみたいです。日本は今後子宮頸がんの患者さんが増加するのではと言われています。せっかくの機会ですので、何とか出来るだけ多くの方に接種してもらい、がんで苦しむ人が少なくなることを願っています。  


 最近では新型コロナも再び流行の兆しをみせていますが、来年には国産の不活化ワクチンもいよいよ接種可能になるのではと期待されています。当院でも治験を行いましたが、副反応もほとんどなくいいワクチンだと思います。これによってさらにコロナを封じ込めることが出来るようになれば、外来診療ももう少しゆっくりなるのではないでしょうか。    


 いろいろな病気の季節感がなくなって、我々小児科医にとっては苦難の時代が訪れたようにも感じます。ただワクチンで防げるものについてはきっちり接種をして予防することで、病気から子どもたちを守ってあげるのが小児科医や保護者の使命だと思います。改めてワクチンの重要性を感じているところです。



【令和5年8月】
よしもと小児科 吉本寿美

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