第194話 還暦を迎えて
私事ではありますが、先月無事に還暦を迎えることができました。還暦についての個人的なイメージは、なんだかヨボヨボの腰の曲がったお爺さんのような印象がありましたが、まだそこまではいってないように自分では思っています(周りの方の印象がどうかはわかりませんが)。最近は高齢者の方が若者よりも元気なように思いますが、皆さんはどう思っていらっしゃるでしょうか。還暦を辞書でちょっと調べてみると、昔は魔除けのために赤色産着が使われていたので、還暦祝いには赤色の服を贈ることが多いようです。さすがにスポーツ観戦以外で赤い服を着ることはちょっと抵抗がありますので、頂くのは遠慮しているところです。
一般的に60歳といえば、普通の会社員であれば定年退職の年齢ということになるでしょうか。但し、我々の職業は開業していれば定年というのは、良いのか悪いのか自分で終わりを決めることが出来ます。さすがにあと何十年も続けることは難しいので、これからはどのようにソフトランディングをするかというのも少しずつ考えていく必要があるようです。幸いまだ健康体ですので、もうしばらくは故郷のために頑張ってみようかなと思っています。
で、還暦になったら自分自身何か変わるのかなと思っていましたが、結局何も変わることはなさそうです。ですが、周囲の状況というのは少しずつ変化してきました。ご存知のように菊陽町周辺はT S M Cの進出により、海外から引っ越して来られる方もかなり増えました。それゆえ当院を受診される海外の方も少しずつ増加傾向にあります。幸い英語を話せる方が多いので会話はなんとか出来ますし、最近は翻訳アプリを持っていらっしゃる方も多くなり助かっています。この傾向は今後しばらく続くものと予想されていますが、実は菊陽町は出生数が減少しているという現実があります。他の方からは「人口が増えていいね〜」とよく言われますが、土地や家賃の高騰の影響もあり、実際には人口が減っている月もあるようです。以前は月に50名程度の出生数があったと思いますが、現在は20名前後のことも少なくありません。当院の健診も予約を断らないといけないことも多かったのですが、現在は全ての枠が埋まることは少なくなってきました。今後の動向が気になるところです。
最近ではコロナの流行も落ち着き始め、外来も普通の風景が戻ってきたように感じます。ただ病気については季節感がなくなってきたのは事実のようで、今でもR Sウイルス感染症のお子さんがいらっしゃいますし、インフルエンザで学級閉鎖というのも耳にします。気候も温暖化が進んでいるようですので、熱中症についてはこれまで以上に気をつけなくてはいけないようです。この時期には小児科外来は少しずつのんびりとしてくるのですが、今年はなかなか発熱のお子さんが減らないのは一体どういうことなのか。せめて夏の時期くらいはゆっくりさせて欲しいと思うのですが、さて今年の夏はどうなるのでしょうか。
今回はとりとめのないことを書いてきましたが、還暦を迎えたとはいえ小児科医としてはまだ若僧の部類に入るのかもしれません。まだまだ受診してくれるお子さんがいる以上、老け込むわけにもいきません。これからは初心に戻って目の前の患者さんに向き合う姿勢を忘れないように心がけたいと思います。歳はとっても気持ちは20代、引き続きよろしくお願いいたします。
【令和6年6月】
よしもと小児科 吉本寿美