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第119話 スマホ活用術

小児科医のつぶやき|第119話 スマホ活用術

 今では高校生を始めとして、ほとんどの方が持っているスマートフォン(スマホ)。非常に便利なツールですが、使い方によっては害になることさえもあります。そのため、日本小児科医会はこどもにスマホを与えないでというキャンペーンをおこなっています。確かに小さいこども達が上手に扱っているのを見ると、末恐ろしいとさえ感じてしまいます。また最近は母親が夢中になって、子どもが事故にあったというニュースも珍しくはありません。どうか、保護者の皆さんはスマホに夢中のあまり子どもから目を離すようなことだけは避けていただきたいと思います。    


 このようなスマホですが、使い方によっては診療の手助けになるツールにもなります。まず、スマホでは写真を撮影することが簡単に出来ますので、発疹であれば撮影してきてもらい見せていただくことが可能です。例えば蕁麻疹は数時間すれば消えますので、受診の際には無くなっている場合が多いのですが、スマホで撮影された写真を見せていただければ、以外と簡単に診断が出来ます。言葉で説明されるより、写真で見せていただければ一目瞭然です。血便が出ましたという場合は、実物を見なくても写真を見せていただければある程度は大丈夫なのか、そうでないかの判断が出来ます。


 また、スマホは写真に加えて動画撮影という優れた機能も持ち合わせています。何度か経験しましたが、「痙攣を起こします」というお子さんの様子を動画で見せていただき、これは確かにおかしいと判断して専門機関に紹介して、その後きちんと診断していただいたお子さんが数名いらっしゃいました。この時は動画の映像が診断に役に立ちましたので、改めて凄い時代になったものだと驚いた次第です。痙攣の様子を言葉で説明しろといわれても、微妙な様子を言葉で伝えるのは至難の技ではないでしょうか。


 スマホは撮影道具として便利ですが、その他にもどこでも簡単にネット環境に接続出来るのも便利です。病院のHP記事を見ることも可能ですし、いろんなことを調べることも出来ます。ただ、あまりにもいろいろなことを簡単に調べられますので、病気のことをいろいろ調べてどうしても悪いことばかり心配されることも多いようです。僕らは、そう重い病気というのを最初から考えることはないのですが、ネットで調べるとどうしても普段診ないような病気についての記載がたくさん出てきますので、それを心配されるケースが多くなります。確かにある言葉を検索すると、こんなのもと思うような病名がたくさん出てきます。全く可能性がないわけではないですが、調べすぎて過度に心配しすぎないことも必要かなと思います。    


 ネット環境に簡単に接続できるおかげで、例えば小児科でいえば携帯で診察を予約できるシステムを利用されるクリニックも増えました。ワクチンの予約さえも、携帯1つで簡単に出来る時代になりました。当院では、インフルエンザワクチンの予約のみネットでの予約を利用していますが、予約の際に電話が繋がらないというトラブルを避けることが出来るようになりました。こちらサイドにとってはかなりのメリットですが、逆になかなか予約が取れないというお叱りも受けます。なかなか全ての方の満足を得ることは難しく、こればかりはどうしようもありません。


 僕のような年齢になると、スマホで使うツールもある程度限られたものになりますが、他にもスマートフォンについてはいろいろ便利な使い方があるかと思います。どう使うかによっていい道具にもなりますし、逆に悪影響を与えてしまう道具にもなりかねません。全てを否定するのではなく、スマホを上手に利用して日頃の診療に役立てていただければと思います。



【2018年 3 月】
よしもと小児科 吉本寿美

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