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第104話 少しずつ前へ

小児科医のつぶやき|第104話 少しずつ前へ

 いよいよ12月になりました。月日の経つのは早いものですね。特に今年は4月以降があっという間に過ぎた感じがします。誰も予想しなかった自然災害に見舞われ、身も心もズタズタになられた方は多かったのではないでしょうか。地震の傷が癒される間もなく、今度は大雨の被害に見舞われなぜ熊本だけという気持ちになりました。幸い、僕自身とクリニックにはさほど被害はありませんでしたが、周辺では亡くなられた方も知っていますし、長く避難所生活を強いられた方もいらっしゃいました。被害に遭われた皆様には改めてお見舞い申し上げます。


 その一方で、地震によって自分は熊本が好きなのだということを改めて自覚できたのはよかったなと思いました。普通によく通っていた阿蘇には簡単にいけなくなりましたし、熊本城を近くから見るとグッとくるものがあります。また未だに見かけるブルーシートの屋根、壊れたままの外壁、危険と書かれた張り紙のある建築物。あれからもうやがて8ヶ月が過ぎようとしていますが、時が止まったように感じることさえあります。


 それでも仕事柄、子どもと接する機会が多いため、自分は子どもたちの笑顔に救われているところが大きいように思います。中には心に傷を負ったお子さんもいらっしゃいますが、赤ちゃんをみるとこの子たちがこれからの熊本を良くしていってくれるのだろうなと思います。この子たちが大きくなる頃は、この年熊本ではこんな凄いことがあったのだと思うことでしょう。


 今年の病院の状況も、4、5、6の3ヶ月は昨年と比べると受診者数が激減しましたし、ワクチンを接種する方もかなり少なくなりました。特に南阿蘇と西原のお子さんが接種を出来なくなった(受診することが出来なくなった)のが大きな理由だと思います。ここにきて、やっと避難所から仮設に移ることが出来るようになったという話も聞きましたし、少しずつ元の状況に戻りつつあるようです。ただ、以前はよく来てくれていたお子さんが来なくなったケースもあり、その子ども達はどうしているのだろうと、ふと気になってしまうことがあります。


 本当に今年は辛いことばかりの1年でしたが、どんなに辛いことがあっても必ず新しい年はみんな平等にやってきます。先日新聞のコラムになぜヴォルターズが今季強くなったのかというのが書かれていました。震災後に選手がボランティア活動を頑張っていたので、きっとそれを見ていた神様がいたのだろうという内容でした。頑張っていればきっといいことはあるのだと思います。熊本は辛抱強い人が多いので、コツコツ頑張っていれば必ず見返りがあるのではないでしょうか。いや、そうなくては困ります。


 熊本はこれでもかというほど叩きのめされましたし、復興にはまだまだ時間がかかるかとは思いますが、これ以上悪いことはもうないと思いますし、そう信じたいです。仕事に関しては、ワクチン問題が今年も発生してしまい、未だに接種が出来ないお子さんが多数いらっしゃいます。出来る限り頑張ってはいますが、現場と行政との温度差があまりにありすぎます(ワクチンは足りているというのですが、現場では本当に不足しているのです)。もう、いい加減にしてもらえませんかね。


 きっと来年はいい年になると信じましょう。熊本には絶対に明るい未来が待っているという希望を持って、辛かった1年を早く忘れて少しずつ前へ進みましょう。それでは、少し早いですが良いお年をお迎えください。

がんばろう 熊本



【2016年 12 月】
よしもと小児科 吉本寿美

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