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第34話 2つのインフルエンザ

小児科医のつぶやき|第34話 2つのインフルエンザ

それにしても、今年の冬はどうしたのでしょうか?寒すぎますね。挨拶はいつも「寒いですね」という言葉で始まりますが、一体いつまで続くのでしょうか。ここ数年は暖かい冬が続いたので、さすがにこの寒さはこたえますね。ですが、僕らが小さい頃はこの程度の寒さは当たり前だったように記憶しています。雪も結構降っていたと思いますが、辛いと感じたことはあまりなかったのではないでしょうか。エアコンがあるのが当たり前の時代では、寒いと感じるのは仕方ないことなのかもですね。ここは焦らず早く暖かくなるのを待ちましょう。


さて、この時期になると当然のようにインフルエンザが流行してきます。既に今年も流行していますが、こちらはインフルエンザ「ウイルス」であり、タミフルを始めとする抗ウイルス剤が有効です。予防接種によってある程度の予防効果はあるのですが、絶対に罹らないというものではありません。今でも「接種しているから大丈夫」と言われる方もいらっしゃいますが、そうではないというのをきちんと理解しておきましょう。手洗い、うがいといった簡単な事が予防には重要なのです。最近では、インフルエンザによる肺障害が最近問題になっています。昨年から当院でも数例経験しましたが、驚くほど急激に病状が進行するのでなかなか対応に苦慮しています。脳炎、脳症などはよく知られていますが、今後は肺障害にも注意しなくてはいけません。


そしてもう1つは、インフルエンザ「菌」です。いわゆるHibといわれているものです。インフルエンザウイルスと名前が同じですが、全く違うものです。髄膜炎や喉頭蓋炎などを引き起こし、最悪の場合死に至る事もある恐ろしい病原菌なのです。こちらの治療には抗生剤が必要であり、予防にはHibワクチン接種が有効です。罹患しても抗体は出来ませんので、罹患したお子さんでも予防接種をする必要があります。幸い、今年からほとんどの自治体で公的補助が出ますので、まだ接種をされていない方はこの機会に是非接種されることをお勧めします。


このように、同じインフルエンザという呼び名でも、上記の2つは症状や治療法も全く異なってきます。現在流行しているインフルエンザウイルスには全く抗生剤は効きませんので、抗生剤を使用するのは控えましょう。但し、罹患後の中耳炎や気管支炎などには必要な場合もあるようですが。


これだけ寒い日が続きますと、空気も乾燥してインフルエンザウイルス感染もあとしばらくは続くでしょう。医者も自分の管理をきちんとして、自分自身が罹患しないようにしなくてはなりません。よく、「先生は病気しませんね」と言われますが、実はこっそりいろいろな病気に罹っていますよ。しかし、辛い顔は見せられませんから気合い!あるのみです。どんなに寒くても必ず春は来ますので、それまで病気しないよう注意しましょう。


【2011年2月】
よしもと小児科 吉本寿美

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