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第182話 手放す勇気

小児科医のつぶやき|第182話 手放す勇気

 今年は5月になってもインフルエンザの流行があったり、R Sウイルスの患者さんがいたりと、以前に比べると全く季節感がなくなってきたように感じます。そしていよいよジメジメした熊本の6月が始まりますが、梅雨も以前とはやや様相を変えてきた感じで、一気にゲリラ豪雨といわれるような大量の雨が降るようになった気がします。さて今年の梅雨は果たしてどうなるのでしょうか。熊本はこれまでにもいろいろと被害に見舞われたことがありましたので、今年は大きな被害が出ないことを願うばかりです。    


 そして季節が変わると面倒ですが衣替えをしなくてはいけません。どこのご家庭も同じような悩みをお持ちかと思いますが、なかなか断捨離が進まないものです。思い切って捨ててしまえばいいのでしょうが、まだ使えるとかいつか着ると思ってしまい、そのままクローゼットにしまっておくことも少なくありません。3年着ない服は処分した方がいいと聞いたことがありますが、自分も昨年思い切ってあまり着なくなった冬服を何点か知り合いに譲りました。服にとっては着てもらうことで再び輝きを取り戻しますので、服にとってはいいことです。勇気を持って思い切って処分するのが一番いいのですが、まだ着ることができる服を捨てるのはもったいない気もします。そんな場合はリサイクルというのも一つの手段なのかもしれません。


 手放すといえば、我々の仕事でもいつまで自分のところでそのお子さんを診察するかということで悩むケースが時々あります。外来で診療を完結できれば一番いいのですが、時には少しずつ悪化するケースもあります。入院してもらえばそれで問題は解決するのでしょうが、家族背景や紹介先の病院の事情などを考えると、簡単には入院をお願い出来ないこともよくあります。またもう少し頑張れば良くなっていくのではないかと思って、頑張りすぎてしまうこともあります。そういう時にはやはり手放す勇気を持つことも重要なのかもしれません。目の前のお子さんにとって、何がベストなのか考えて判断をすることが大事なのですが、簡単なようでなかなか難しいですね。  


 そしてふと気づけば当院も開業して20年が経過しました。よくここまでやってきたものだと思います。当然自分も歳を重ねて来年は早くも還暦を迎えようとしています。まだまだ自分では元気だと思っていますが、時々この先はどうしたものかとふと考えることもあります。ここ最近の菊陽町の開発状況を考えると、しばらくは人口増加が見込まれますし、当然子どもの数も増えることが予想されています。自分の都合で病院自体を辞めてしまうのは簡単ではありますが、そうなるとかかりつけの子どもたちが困ってしまいます。重い病気自体は少しずつ減少しているようにも感じますが、それを支えているのがワクチンです。今でも子どものワクチン接種を行うのは小児科医の役目だと思っていますので、そう簡単に辞めることも出来ないかなと思っています。実際小児科医が不足している自治体では、ワクチン接種だけでなく、健診業務にも支障をきたしているところも少なくないようです。菊陽町も現在小児科医が2人でギリギリの状態で、周辺自治体の小児科の先生にも協力してもらって、何とか診療や健診をやっているような状況です。まだクリニックを手放す勇気はありませんし、これからもまだまだ子どもたちのために頑張らないといけませんね。      



【令和5年6月】
よしもと小児科 吉本寿美

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