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第118話 改めてインフルエンザを考える

小児科医のつぶやき|第118話 改めてインフルエンザを考える

 昨年末からインフルエンザが流行し始めて、現在大流行しています。特に今シーズンはB型が初めに流行し始めましたので、A型から始まる例年とはちょっと様相が変わってきました。そこで、今回はインフルエンザについて改めて考えてみたいと思います。最初に断っておきますが、これは僕自身の考えですので全てが正しいというわけではないかもしれないということをご承知おきください。      


 さてインフルエンザは、昔から存在する病気でしたが以前は診断キットや治療薬は存在せず、「流行性感冒」とか言われていたものです。最近は診断キットや治療薬の開発が進み、ほぼ正確に診断や治療が出来るようになりました。おかげで日本はタミフルの消費が世界でも有数(恐らく1位)の国だそうです。更には1回で終わる吸入薬も登場し、治療薬の選択肢が増えて患者さんにとっては喜ばしいことです。但し、これらの治療薬はインフルエンザウイルスをやっつけるものではないということをぜひ理解して欲しいと思います。そのためウイルスが増殖する48時間以内に治療を開始しないと効果がありません。ただ、本来はウイルス感染症でありますから対処療法のみで治癒します。最近は、「そのまま様子みます」と言われる保護者の方も多くなったように思います。さすがに成人はそうはいきませんが。


 そこでインフルエンザに罹らないように、毎年ワクチンを接種します。ところが、このワクチンは他のワクチンと違って、接種すれば罹患しないというものではありません。毎年接種したのに罹患するお子さんもいれば、接種はしなかったけどかからないという方が多いのも事実です。あくまでも重症化を防ぐというのがこのワクチンの目的ですので、ワクチンを接種しているからといって油断してはいけません。日頃からの手洗い、うがいといった予防が大切です。2回接種したから大丈夫と安心していては大変なことになります。今季は既にAにもBにも罹患された方が出てきました。


 今年のインフルエンザの特徴は、典型的なインフルエンザの経過を辿らないケースが非常に多いことです。「隠れインフルエンザ」と報道されるような症例によく遭遇します。典型的なインフルエンザの症状は高熱が続くのですが、今季は微熱が続いたり、1日で熱が下がったり、家庭内でA型とB型が混在したりとか、非常に診断に苦慮するケースも増えています。全て検査すればいいのですがそういうわけにもいかず、他の病気も存在しますのである程度症例を絞って検査をしなくてはいけません。また、検査は発熱後12時間程度が経過してから行うのが一般的ですが、発熱後早期に検査で陽性に出るケースもあれば、3日以降にしか陽性に出ないケースなどもあります。    


 これから4月頃まではインフルエンザの流行が予想されます。今月からは入試のシーズンでもあり、受験生の方は特に気をつけてください。風邪ですから、数日すればよくなる病気ではありますが、罹ってしまうとやはり体力も消耗しますし勉強もしばらくは出来ない状況が続きます。また、稀ですが脳炎や脳症を発症するケースや、罹患後に気管支炎や肺炎になる症例もありますので、インフルエンザも甘く考えていると痛い目にあう可能性もあります。


 いろいろ書きましたが、治るとはいえやはり罹らないに越したことはありません。風邪とはいえ、関節痛やB型は胃腸症状が出るケースも多く、やはり罹ってしまうとしばらくは辛い思いをしなくてはなりませんので、どうかお気をつけ下さい。たかがインフルエンザ、されどインフルエンザです。



【2018年 2 月】
よしもと小児科 吉本寿美

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