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第91話 野球部の仲間

小児科医のつぶやき|第91話 野球部の仲間

 今回は診療にはほとんど関係のない、僕の同級生の話をします。先日たまたま集まる機会がありましたので、今回はとりとめもない話だとは思いますがご勘弁ください。大学生の頃は、勉強に行くというよりむしろ野球の練習に行っているような感覚でした。あまり大きな声では言えませんが、真面目な学生ではなかったことは間違いないようです。おかげで、再試もかなり受ける羽目になりました。昭和の最後の日が再試だったのは、今でも忘れることが出来ません。その代わり国家試験は死にもの狂いで勉強しましたが、やはり発表までは不安でたまりませんでした。その時の支えとなったのは、紛れもなく一緒の部屋で勉強していた野球部の仲間ではなかったかなと思います。


 当時の医学部は、イメージとはかけ離れたかなりスポーツが盛んなところでして、サッカー部やラグビー部は毎年全国で優勝して当たり前というくらい、実力のあるチームで練習は半端ないものでした。野球部もかなり強くなってきていて、6年時まで辞めずに練習をしました。夏に真っ黒に日焼けした姿は医学部の中では浮いていました。それでも、おかげで6年時は西日本大会で優勝することが出来ました。熊大医学部野球部では久しぶりの優勝ではなかったかと思います。


 卒業後は5人いた野球部の同級生は、別々の診療科へ進むことになりました。キャプテンは東大小児外科に入局し、その他は熊本で研修を開始しました。卒業の時、「この中で誰か教授になったら賞金ね」という約束を交わしました。その時は、まあこの中で教授になるものなんて誰もいないだろうなというのが大方の予想ではなかったでしょうか。ところが、僕を含めて2人が開業しましたが、残り2人が教授となりあと1人も教授候補になっています。まあ、僕が教授にならなかったのは想定内というところでしょうか。


 最初に教授になったT君は、外科で研修を行ったのち基礎研究の方へ進み海外留学して、数年前に福岡のとある大学の基礎教室の教授に就任しています。競争が激しい世界で、教室を維持していくのはかなりの苦労があるようですが、同級生が頑張っている姿は仲間として誇りでもあります。このような基礎研究が我々の臨床の現場に繋がっていき、非常に重要な分野ですのでこれからも頑張って欲しいと期待しております。


 それから先日教授になった当時キャプテンのM君は東大小児外科で研修を積み、今や日本の小児肝臓移植の権威になっています。新聞にも時々取り上げられ、このたび見事に教授就任となりました。先日は「ドクターズ」というテレビドラマの監修もやったりしていましたので、素晴らしい活躍です。今後も日本の小児肝臓移植をリードしてくれるものだと期待しています。


 進んだ道はそれぞれ違いますが、5人それぞれがこうして頑張っているのは、辛い練習に耐えたことのおかげではないかと思います。また、チームとして頑張ってきたことが今も役に立っているのではないでしょうか。医療そのものはやはりチーム医療で、医者だけがいても何も出来ません。チームで頑張って結果を求めた学生時代の貴重な経験が今に繋がっていると思います。今回同級生と久しぶりに会って、自分もまだまだ頑張らなくてはいけないなと気持ちを新たにした次第です。遠くない時期に残るK君の教授就任の吉報を聞けると信じてやみません。



【2015年11月】
よしもと小児科 吉本寿美

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