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第106話 かかりつけ医とは

小児科医のつぶやき|第106話 かかりつけ医とは

 最近よく耳にする言葉で「かかりつけ医」というのがあります。厚労省がかかりつけ医という制度を始めたようですが、かかりつけ医を受診して出来るだけ大病院を受診する患者数を減らそうということなのでしょうか。小児科でいえば、かかりつけ医という制度を利用すると、我々診療する方は保険点数が上乗せされるとメリットがありますが、それには一定の条件が必要みたいです。夜間も電話対応をするという条件がありまして、これはなかなか厳しいものです。いかなる場合でも電話がかかってきたら対応しなさい、そうすれば点数の上乗せをやってもいいですよというものらしいです。子どもの場合、結局は診察してみないとわからないことが多く、電話だけで判断するのは非常に難しくトラブルの元になりかねません。実際にこの制度を利用している小児科の先生はほとんどいらっしゃらないのではないかと思います。何軒かの病院を受診しているお子さんは、どこがかかりつけ医なのかという問題も出てきます。


 では、かかりつけ医とはいったい何だということになります。字のごとく自分が頼りにして、いつも診察してもらっているお医者さんのことということでいいのではないでしょうか。いつも診てもらっているので、今までの経過もご存知で、相談もしやすくて何かあれば安心して診察を受けることが出来ます。かかりつけの先生は、微妙なさじ加減もわかってくれているのも安心できる理由です。


 ところが、小児科の場合はこちらがこの子はかかりつけだなと思っていても、相手はたまたま受診しただけと思っているケースも少なくはありません。いわゆる「ドクターショッピング」をされるわけですが、こういったケースはどこの先生でも対応に苦慮します。今までの経過や治療歴があまりわからず、既往歴もわからないと、診断や治療に手間取ることも少なくはありません。また、基幹病院のお手伝いにいって診察をしていると、かかりつけは「◯◯耳鼻科」と問診票に書かれていたりすることもしばしばです。いつもは耳鼻科で、救急の時だけ小児科?といつも疑問に思います(決して耳鼻科の先生を非難している訳ではありませんので、ここは誤解のないようにお願いします)。やはり子どものかかりつけ医というのは、先ずは小児科でお願いしたいものです。そこで手に負えない場合は、他の医療機関に紹介してもらうという流れがいいように思います。


 当院によく受診してもらうお子さんだと、この子はよくこの病気になるなとか、この病気を元々持っているから気をつけなくてはというのが、簡単にわかります。また喘息のお子さんが受診した場合は、この子はどの程度の喘息なのか、これからどんな状態になっていくのか、なども今までの経験からある程度予測することができます。かかりつけのお子さんでない場合は、診察はできても細かいところがわかりません。よその病院で治療を受けていたけど全然治らない、熱が下がらないからからこちらを受診しましたというケースは珍しいことではありません。「時間は医者を名医にする」というのは昔からある言葉で、時間が経過すると症状がはっきりしてきて簡単に診断が出来るようになるというたとえです。1例をあげると、川崎病の患者さんだとはじめは熱だけで何かわからないけど、そのうちに皮膚や目や口唇に症状が現れてきて、川崎病という診断にたどり着きます。最初に熱だけで診察した医者は川崎病と診断を下すのはなかなか難しいものですが、時間が経って症状が現れてから診断するのは小児科医なら意外と簡単です。


 なかなか病気が治らずに不安になることもあるかとは思いますが、どうかいつものかかりつけの小児科医を信頼して、何があっても先ずは小児科を受診されることを望みます。そして、疑問があればいろいろ聞いてみたらいいでしょう。きっと何とかしてくれると思いますので。



【2017年 2 月】
よしもと小児科 吉本寿美

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